パリまであとなんコギ

交通事故にて頸椎骨折し障害を得たリカンベント乗りが再びパリ・ブレスト・パリを完走するまでの記録(予定)

グランフォンド吉野2017 頸椎損傷者がロングコースにリカンベントで完走できるのか? その2

案の定長くなりましたグランフォンド吉野走行編。
分割して正解でしたが、とくにタメになるようなお話は書いておらず、「俺すごい!」的な内容なので流してお読みください。



今回のグランフォンド吉野に投入するリカンベントは前回のツールド美ヶ原に続き、ライトニング社のP-38だ。


ここでP-38の素晴らしさをアピール。
以下前回日記のコピペ-----------------------------

P-38は低速安定性に優れ、ダイレクトなチェーンラインとシートのホールド感の強さからくる高駆動効率がヒルクライムに最適だ。
車重はクロモリなのでP-38のほうがCA2.0より重いのだけど実際に六甲山のタイムを計るとCA2.0よりも速かったり。
さすがは数々の記録を持つレジェンド的機体P-38だ。今や古い旧車といった感があるがその走行性能はまったく色あせておらずとても良いリカンベントだ。
もし、誰かにオールラウンドに使える一台を挙げてくれと言われれば間違いなく私はP-38を推すだろう。
これは買って損のない名車だと思う。
ちょっと優等生すぎるところが物足りないのだけどね…私的P-38のインプレッションの詳細はまたいつかブログに挙げたいな。

ここまでコピペ-------------------------------


今回はヒルクライムレースではなくアドベンチャー要素の強いグランフォンドだ。
軽量化のために外していた色々な装備を再度取り付け、暑さに備えてボトル2本と1L分のハイドレーションや補給食やら工具やらチューブやらもろもろ積み込むと+4キロの重量増になってしまった。
ヒルクライムのときの軽さはどこへやらすっかり重量級だ。
しかし、ヒルクラで6キロ減量しているのでプライマイでいくとマイナス収支なので4キロの装備は問題ないだろう。



ロングコースは158kmを10時間以内に走り切らないといけないので休憩などコミコミのグロス15.8kmphで走り切らないといけない。
天川エイドの関門に至っては85km地点に11:30までに到着なので6:30スタートの11:30、5時間で走り切らないといけない。

ん〜〜〜〜?????? 85÷5=17???????????
関門クリアにはグロス17kmph必要やん。
厳しい。
厳しいぞ。
これはきびしい〜〜〜〜〜〜〜〜〜(財津和夫



今の体はパワーがない。坂を速く走るための踏力がない。
神経の損傷の影響で筋肉の動きが悪くパワーをつかって漕ぎだすとあっという間に筋肉が疲労して動かなくなるのだ。
短時間ならなんとか誤魔化しが効くかもしれないのだけど、今回のように距離と時間が長くなるとなかなか厳しい。
自分の体のことはよくわかっている。
通常の状態では無理だ。せめてハイパーモードに入れれば或いは…


ハイパーモード。
そう、ハイパーモードだ。
これは美ヶ原のトレーニング中に発見したことなのだけど、何かの拍子に動かない筋肉が動き出して怪我の前のようなパワフルな走りができるモードだ。
以前六甲山トレーニング中にハイパーモードに入ったことがあって、その時はなんとタイムが8分も縮まったという恐るべき状態だ。
ただ、ハイパーモードにどうやったら入ることができるのかは定かではない。直近の走行距離と強度に関係してるのはなんとなくわかってるんだけど…
個人的なハイパーモードのイメージはこんな感じです。



さて、6時30分。
グランフォンド吉野ロングコースのスタートだ。
2人組ごとに順次スタートしていくので私は盟友えむきゅうさんとスタート。
まずは下りをビューンと下っていく。
シート横に新設した補給食を入れたかばんがぶらぶらしてちょっと気になったが問題ない。
危なげなく下っていく。こんな序盤で落車したらしょうもないしね。
するとですよ。
なんと、えむきゅうさんが「おっ先〜」と私を置き去りにしてあっという間に見えなくなった。
え〜今回はレースじゃないから一緒に走るんじゃないの〜
完走できるかどうか不安がってる私を助けてくれるんじゃないの〜
え〜え〜え〜え〜え〜え〜え〜え〜え〜え〜え〜え〜え〜え〜え〜え〜え〜え〜え〜え〜え〜え〜え〜え〜


まぁ一人のほうが気楽でええわな。ここ2か月ぐらいずっと毎週毎週トレーニングやらで一緒だったからね。
ここで10時間も一緒に走るなんて考えただけでぞっとする(笑



まずは25km先の黒駒エイド。
平坦と下りなので問題なし。
だけど、ロードの健脚な人たちがビュンビュンと私を追い抜いていく。
序盤なので力を使いすぎないように抑えて抑えて。
速く走るのは苦手だけど力を温存して長く長く走るのは得意なのだ。
だって私の自転車の根っこは旅するランドナーだしブルベを走るランドヌールなのだから。

●黒駒エイド 7:30着 25km地点 区間AVE24.8 グロスAVE24.8


今回の作戦はエイドでの滞在時間を極力少なくしてノンストップで走ろうというもの。
ストップ時間が少なくなればおのずと全体的な移動速度もはやくなるからね。
で、この黒駒エイドではストップするつもりはなかったのだけど、なんだか楽しそうに談笑しているほかの選手を見てついフラフラと吸い寄せられて停車。
だって私休憩大好きなんだもの。
結局この後エイドごとに休憩いれてノンストップなんてことはできなかったのだけど。
だって私休憩大好きなんだもの。

●休憩 7分 



さて黒駒エイドを超えてからは登坂の始まり。


えっちらおっちらと登っていく。
周囲にほかの選手の姿は見えない。
さすがにグランフォンドに参加するだけあってみんな速いなぁ。
消耗しない範囲で力を込めてペダルを踏んで坂を登っていく。
しかし、なんか、調子がいいぞ?
なんだかいつもより踏めている感じ。
あれ?これって…もしかして。
一つ目の峠のピークを迎えたところでロードの人数名を捕まえる。
まじか!登坂でリカンベントに捕まったらあかんで。
一度下ってまたキュッっと登って野迫川エイドへ。

●野迫川エイド 9:42着 52km地点 区間AVE13.4 グロスAVE16.25


この野迫川エイド。
グランフォンド吉野の最大のお楽しみエイドステーションとして私の中では必ず滞在するエイドステーションなのだ。
なぜかというと。

そうめん&唐揚げ!

とうふ!

豆乳!

ぼたもち!

などなどエイドステーションの食べ物が豊富で美味しいのだ!
特に暑い中走ってきた体にはそうめんと豆腐は体に染み入るやさしさだ。
旨いなぁ〜旨いなぁ〜。今年も野迫川に来れてよかった。ありがとう野迫川。

友人たちを誘って野迫川へサイクリングに行きたいのだけど豆乳やら豆腐やらを楽しめるお店はあるのだろうか?
野迫川サイクリングマップ&グルメポイントみたいな資料はどこかにないものか?

●休憩 13.5分


さて、次は天川エイドだ。11時30分クローズなので残りあと1時間半くらいで31kmを進まなければならない。
この先は下り基調ののち緩やかな登り。
1.5時間で30km。
うーーーん平坦なら余裕なのだけどさ。
まぁ行くしかないか。
下りと平坦はリカンベントの性能を最大限に発揮して飛ばしまくる。まだこのあたりの道は綺麗なので飛ばせるのだ。
先行されていたロードの人たちをカンカーンと抜いていくが緩やかな登り基調に入ったところで追いつかれる。
リカンベントとロードでは得意分野が違うからしゃーないわな。
リカンベントは基本的に平坦と下りで稼いで登りで借金するといった感じの走り方になる。
なのでロードとつるんで走った場合、平坦をロードに合わせると登坂の借金だけが残る感じになるんだよね。


走行距離と経過時間とにらめっこしながら走っていくんだけど、ずっとびみょうーな感じでたぶん間に合うけど余裕はないという感じ。
だけどもペダルは良く踏めているし、いまだ疲れたという気配はない。
これはもしかするともしかして???
すると、天川エイドに時間内に到着!
やった〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!

●天川エイド 11:16着 83km地点 区間AVE23.5 グロスAVE17.4


いやーまさか間に合うとは。
でも残り14分だから結構ギリギリ。パンク一つでアウトになる感じだ。
しかし間に合ったものは間に合った。それが2時間前でも1分前でも関係ない。

私はっ!
天川エイドにっ!
間に合ったのだーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
わーい(*´▽`*)ノ
ここまでくれば残りはゴールタイムの17時をクリアするのみ。
残りのコースは行者還を登ってあとは下り基調だ。
楽勝やん。


楽勝なんだけど…
眠い…
普段の不摂生と今朝の早起きの影響でとても眠くなってしまったのでエイドステーションで仮眠をとってリスタート。

●休憩 20分


天川エイドを超えてからは本格的な登坂の開始だ。
ほどなくみたらい渓谷に入ると気温がぐっと下がって25度程度。
今までの30度オーバーの世界からすると天国だ。
川の水も冷たくて気持ちよさそう。

みたらい渓谷の道は荒れてるわけではないのだけど道幅が狭い。
車1台が通れるねといった感じで自転車と離合するにはお互い速度を落とさないと危険だ。
そんな狭い道な上にちょいちょい車が通ってブラインドカーブも多いもんだからスピードを出すのは危険で、抑えめに走らなければならない。
確か2012年に参加したグランフォンド吉野では自転車とバイクが接触事故を起こしてたよなぁ…


行者還をひいコラひいコラ登っていくと、だんだん眠くなってきた…
あかん、眠い…
眠いとペダルに力が入らず速度が格段に落ちてしまう。
ちょうどロードの人と一緒に登っていたので『そろそろ登り飽きてきましたね〜』とか『GF吉野何回目ですか〜』などなど話しかけてみる。
眠気対策には誰かと話しをするのが一番なのだ。
なのだけど、ロードの人の反応がいまいちで会話が続かない。
いや、ほら。俺の自転車とか弄りがいあるやん?
えーーーもっとしゃべってよ〜

などと思ったけどいっぱいっぱいで話をする余裕がなかったのかな?
対する私は眠気はあるもののまだまだ元気。
これはもしかして…

●行者還 12:58着 97.5km地点 区間AVE10.6 グロスAVE15.0


あとはちっと登って下るだけ。
下るだけなのだけど眠いので15分仮眠。下りで居眠りしたらえらいことになるからね。睡眠大事。
おやすみなさい( 一一)zzzzz

●休憩 17.5分


行者還をバビューーンと下っていきたいところだけど路面は荒れてるしブラインドカーブが多いのでスピードは出せず。
安全速度で下っていく。
いったん下って伯母峰峠へ向けて登っていく。
これが最後の登りだけど、この登り嫌いなんだよね。
車が多いし登りの長いトンネルはあるし。
峠を越えた。
これでグランフォンド吉野の難所はすべてクリア。
あとは下り基調だぜぃ〜
やっとリカンベントの本領が発揮できる。
バビューーーンと気持ちよく下って川上村エイドに到着。

●川上村エイド 14:57着 126km地点 区間AVE17.1 グロスAVE15.4


最後のエイドだからあまり期待していなかったのだけど、なななななななんと!!!
このエイドステーションにはかき氷があるじゃないですか。




みたらい渓谷の涼しい世界から灼熱地獄の下界に降りてきた身にはかき氷はうれしい。
大喜びで3杯食べる。

●休憩 19:16



さて残り23kmの下り基調。
もはやゴールしたも同然。
楽々で走っていく。
すでに130km走ってるし積算高度も2500mは超えてるだろう。
身体は疲れて、脚はまわら…
いや、回るやん。体は元気でまだまだ走れそうだし、ペダルもガシガシ踏めている。
これは、やっぱりハイパーモードだ!
今までの体だとこんなに走るとヘロヘロになってペダルもオッペケペ〜になるのだけど、怪我する前の私の体はこれくらいの距離はどうってことなかったのだ。
あゝ、きたよ。在りし日の私の体をほうふつとさせるハイパーモードが、強い私がひょっこりコンニチワしてくれたよ。
も〜ハイパーモードに入れたのが楽しくて楽しくて、ラストまでガンガン踏みまくった。
ゴール手前最後の4kmほどは登坂で結構な斜度があるのだけど、踏めるのが楽しくて楽しくて。
お疲れのロードの方々を最後の登坂で抜き去る。
あゝ登坂を速く登れるというのはなんと気持ちいいことか。

うれしい!
たのしい!

ラストのゴール前はスプリントよろしく踏みまくってゴール。


●ゴール 16:02着 153km地点 区間 23.7 グロス16.0

時間制限も余裕でクリア!
やったね!


いや〜しかし、絶対完走は無理だと思っていたのだけど行けるもんやね。
友人達からは大丈夫やって!と言われていたのだけど、自分を一番信用していなかったのは自分自身だったね。
いや、でもさ。頸椎損傷して麻痺が残る体でグランフォンド吉野とか走れるわけないやんとか思いますやん。普通。
しかしハンデがあろうが地道の練習して入れば強く速くなれることが今回のグランフォンド吉野ロングコースを完走したことでよくわかった。
私はめっちゃ速く走りたい!!!という方面の人ではない。でも自転車をより楽しむためには強く速くあることが重要だと思う。
100km走ってヘトヘトなのと100km走ってピンピンしてるのでは楽しめる余力が後者の方あるはずだ。
速く走れれば限られた時間の中でいろいろな場所へ行けるし、強くあれば遊びを入れる余地が多くなる。
リハビリは苦しいけれど楽しむためにこれからも頑張ろう。
もっともっと楽しいことを経験するために。


今回完走できたのはハイパーモードに入れたおかげなのだけど、今回のハイパーは前週の美ヶ原のヒルクライムが効いているのだと思う。
2時間も延々と登坂を登れば眠っている筋肉にも刺激が入ってハイパーモードに入れるんだね。
つまり、毎週たっぷり自転車に乗るようにすればずっとハイパーモードに入れるということだ。
よし、とても良いことが分かったぞ。
刺激を入れ続ければ麻痺った筋肉ももっともっと動き出すに違いない。
そうすれば再びSLコースの完走も夢ではないはずだ。


でもなぁ、元気なころでも5回目でようやくSL完走だから今の体だと何回かかるやら。
先は長そうだ。


ゴール後はかき氷を2杯頂いて疲れをいやす。



帰宅途中に高田のくろすにてささやかな打ち上げ兼晩ご飯。

くろすのラーメンはとっても美味しくてまるで初めて座銀のラーメンを食べた時のような旨さ。
旨さが食べた後にも舌に残って美味しい美味しいが継続する感じ。
こんな感じになるラーメンはめったにないよ。
このお店は奈良行った時の定番にしたいな。



さて、これでイベントごとが全部終わってゆっくりできるわ〜と思ってたけど、剣山のブルベにエントリーしてるんだった…
はやく自堕落にすごした〜い