パリまであとなんコギ

交通事故にて頸椎骨折し障害を得たリカンベント乗りが再びパリ・ブレスト・パリを完走するまでの記録(予定)

BRM929近畿600 トライク de ブルベ 嵐の中の3輪車

お楽しみの毎年恒例紀伊半島一周の600kmブルベに参加してまいりました。
先々週の福岡1000では台風に遭遇しどえらい目にあったので、今回は秋晴れの良いテンキノナカ…

なんとまぁ、また台風ですよ。
台風17号ジェラワットちゃん、心気圧940ヘクトパスカル、最大瞬間風速60メートルで、非常に強い勢力ですよ。
台風16号サンバちゃんに引き続き強いですよ…
こんなに狙い済ましてこなくても良いのにね。いったい誰が台風を呼び込んでるのか???


っと、台風がきてるらしいですが影響があるとすると日曜の朝あたりからで進路を見てるとどうも直撃ではなさそう。
日曜の朝には伊勢あたりにたどり着いてはいるので、危険な海岸沿いを走ることもない。もしものときの退避もしやすいだろうと思われた。



今回の使用バイクはトライクのVortex。300,400をクリアしてこの600をクリアすればトライクSRにリーチがかかるのだ。
前回からの反省を踏まえ、いくつか装備の変更を行った。

  • フェアリングの取り外し:車長が長くなって取り回しが面倒になるのと、雨が降ると前が見えなくなること、ライトの取り付け位置に工夫が必要なこと、走行中にずれることがありストレスになることなどから今回は却下。
  • 太いタイヤの装備:先日の記事に書いたとおりタイヤをマラソンレーサーに換装。
  • ディスクカバーの採用:トライクにおいて一番効果が出やすいのは『前輪のカバーを装着することだ』という書き込みが某掲示板に書かれていた。正直半信半疑だったが、作成コストもそんなにかからないので自作でカバーを装着。


朝4時半に自宅を出発。
いつもは26号線を走っていくのだが今回は29号線を使用。信号が少なくてかなりの時間短縮になって良い感じ。
2時間ほども走ってスタート地点に到着。
今回もなかなかの人の数だ。
そして、ドキュメンタリー映画監督の田中千世子さんが紀伊半島とブルベをテーマに作品をつくるとのことでビデオの撮影をされていた。数名インタビューを受けていたようだが、完成が楽しみだ。


ブリーフィングで台風に関する注意喚起もありつつ、ブルベがスタートした。
気温は高くないがじっとりと湿度が高い。雄ノ山峠を登るあたりでもう汗だくのべちゃべちゃ。
田辺まで119kmの道のりを走っていく。
今回のルートは基本的にずっとアップダウンの連続で385kmのPC4まで続く。
なので序盤にがんばりすぎるとドンドン脚が削られていって後が持たなくなる。
っと分かってはいるもののなぜかVortexに乗るとがんばってペダルをこいでしまう。
速く走らせようとする何かがこのトライクにはあるのか?


PC1 田辺 12:30 時間5:38:17.6  距離119.44 Ave21.2


程よく脱水もされ、足もふらふらになりながら到着。
って、あれ?なんだか予定より到着が早いのだけど?
去年Baronで走ったときの成績を思い出す。
http://d.hatena.ne.jp/take3-HBR/20110607/1307446116
13時ごろ到着してる。
おかしい…速度に劣るトライクでなぜローレーサーよりも速いのだ???
まぁ速い分にはええねんけどっと。
台風が来るまでにできるだけ進んでおきたいので飯休憩もそこそこに再出発。
たぶんみんな同じ思いなんだろう、今回やけにみなの進行が早い。


 『台風が来るまでに!』が今回のキーワードになるのだろう。


再びアップダウンコースを越えて進んでいく。
風はゆるい追い風もしくは無風で風に悩まされることは無かったのだけど、登坂になると無風状態になり暑い!



PC2 串本 16:40 時間3:36:41.9 距離74 Ave20.3


Baronでの到着時刻は16時過ぎだったので、これまた同じようなタイム。
好調なんだけど、なんだか腑に落ちない(笑


PC2を過ぎてしばらくは平坦基調の追い風エリア。
Baronだとヒャッホーイする区間だけど、トライクだし大人しめに。
夜の佐田坂を登って行く。相変わらず湿度が高く汗だく不快。
これまでのアップダウンでもう脚もへろへろで踏めず。
ゆっくりとゆっくりと登って行く。
今回はトライクなのでどんなに低速になってもバランスを崩して転倒することがない。
ペダリングだけに集中しておけば問題ないので、そういうところは2輪より楽だ。
車重と3輪分の路面抵抗で2輪のリカンベントよりも坂は遅いが、どんな坂でも登っていけるのがトライクのすばらしい強みだ。


PC3 まんぼう 23:50 時間6:41:22.2 距離125.53 Ave18.8


日が変わる前にまんぼうに到着。
こんどはBaronよりも到着時間が早い(汗 どうなってるんだ?
かなりの人数が先行してるので仮眠とってる人が多いだろうと思いきや、ざっと見た感じ10名以下といったところか。みんな先に進んだのかどこか宿泊施設に入ったのか??
なんにせよ、そろそろ睡魔が襲ってきてるので1時間仮眠を取ることに。


40分後、寒さとお隣の歯軋りで目覚め。これ以上眠れそうに無いので出発。
なお、スタッフさんのお話によると雨は午後からになりそうな台風進路だそうな。


まんぼうから先は再びアップダウン区間だけど今度は山エリアのアップダウン。
これまでの海岸線沿いの小さなアップダウンではなくて少し波が大きめ。
いつものことだけど、この区間大嫌い。
眠い上に仮眠明けで足は固まってるし疲労してるし寒いしでいいとこなし。
途中睡魔に襲われ路肩へ止めてスポット仮眠を取る。
これもトライクならではの強み。いちいちベンチなどの横になれるところを探す必要がない。
路肩に止めてパーキングブレーキをかければそれは満天の空を眺めながら休むことのできる極上のベッドなのだ。


PC4 志摩 5:30 時間4:26:06.9 距離64.29 Ave14.5


仮眠を少なめにしたおかげで、ここもBaronよりも早く到着できた。
しかし、そろそろ雲行きがあやしい。
空を見上げると台風直前の気配がぷんぷんとしている。
休憩も早々に出発するが、なんども睡魔に襲われ速度が出ず。また路肩でスポット仮眠を取る。
伊勢神宮赤福本店でのおやつも時間短縮のためパス。
伊勢うどんを食べるため伊勢市駅の若草堂さんへ。
朝早くから営業してるので助かる。しかし、去年うどんを作ってくれたおばあちゃん、今年はもうかなり体が弱ってるようで娘さんが切り盛りされていた。来年も行くからねおばあちゃん。


PC5までは平坦基調だ、メータを見ると時速48km/h。
え?
ええええ?


なんだか、なぜだかスピードが倍で表示されてる…
とうとう『ダブルマグネット』のスキルを習得したのかと思ったが、サイコンの故障のようだ。
これで距離の確認にサイコンが使えなくなった、残るはGPSのみ。
バッテリートラブルとか無ければよいのだけど。


PC5 勢和多気 9:30 時間3:44:01.6 距離55.64 Ave14.9


さて、出発しようかと思ったら大雨が振り出した。
これから進む先を見ると怪しい黒い雲が立ち込めている。
とうとう、台風の影響が出たか。
しかし、この先の高見峠をこえてしまえば楽になるはず、ひどくならないうちに超えてしまおう。
雨具をフル装備で着込んで出発。
雨がドンドン激しくなる。


高見峠へのアプローチでゆるやかに登って行く、速度は出ない。
雨は激しさを増し、風も強くなっていく。
早くこの山岳エリアから抜け出したい…
そんな一心でペダルをこぐ。つらい…
でも、隣を走ってるK野さんは楽しそうだ。

そしてやっと見えたループ橋!


やっと高見峠が終了!つらかった。


そしてお楽しみの下り。

2輪だとスリップの可能性があるが3輪ならばその危険が低いし、車高が低く風にあおられることも無い。
ブレーキもディスクブレーキなので雨でも安心。
おまけに今回前輪を太いタイヤに変えてきてるので、なんら危険を感じることなく良いスピードをだして下っていく。
楽しいが、雨粒が顔に突き刺さって痛い。


峠を下り、吉野川沿いを走る。
風はかなりきつくなってきておりもはや暴風雨の一歩手前。
側溝を流れる水は溢れそうだし、現に一部冠水している箇所があったり。


吉野を過ぎ五条に入るが、そろそろ本格的に危険な様相。
っと、雨の中O田さんとM脇さんが立っていて、この先のガストで台風が行過ぎるまで待機するようにとの指示あり。
なんでも街中は看板が飛んだりとひどいありさまのようだ。
18時くらいになれば台風が通過してましになるからとのこと。


ガストへ退避。これが16時過ぎ。
びしょ濡れだったのに快く迎えてくれたおにいちゃんありがとう。
そして、雨粒が体に当たらないってなんて快適なんでしょう!!
雨具脱いで乾燥させつつ、冷えた体を温めるため栄養補給。
そして、仮眠。


17時半には暴風はおさまり、18時には再スタート。

  • ガスト退避組の有志


PC6 五条 時間 7:48:28.3  距離102.73 Ave13.2


スタッフの皆さんが出迎えてくれた。ほんま台風の中ありがとうございます。


あとは勝手知ったるいつもの道のり。
雄ノ山峠は木の枝やら葉っぱやら良く分からないものが散乱していたが、無事にゴール。


Arrive 泉佐野 22:30 時間4:29:14.9 距離69.49 Ave15.5

距離: 610.16 km
タイム: 39:37:44
平均スピード: 15.4 km/h
平均移動速度: 21.3 km/h
高度上昇値: 6,500 m
カロリー: 10,131 C
平均気温: 20.2 °C
平均心拍: 115 bpm
最高心拍: 163 bpm


ガストの待機時間があったにせよ、なんとか時間内に収めることができた。

トライクでの600はやっぱりきついよなぁ、とも思うがPBPではふつーにトライクも走ってたんだよね。
やってやれないことは無いんだろうけど、私が使いこなすにはまだ脚が足りないよう。
とも思ったけど、ガスト待機時間を抜くと37時間後半。
Baronでの時間は37時間半。
あれ?あまり変わんないんじゃないの?
速くなさそうで速い?それとも去年から俺パワーアップできてるの?よく分からん。


さて、タイヤをマラソンレーサーに変えた効果だけど、速度的にはそんなに落ちてないと思う。
たしかに加速などは鈍くなってるが、速度に乗ってしまえば問題なし。むしろ速度維持がしやすいように感じた。
また、不快な振動もかなり抑えられていて疲労を軽減してくれている。
さらに、直進性が良くなったのか、400走ったときは体が左右にふらふら揺れる感じがずっと残っていたのだけど今回それはなし。
速度ののりはホイールカバーも一役買ってくれているとは思うが足回りの変更は、文句なしの好結果だった。
そういえば海外のトライクのりは太目のタイヤを履いていたなぁ。『細いほうが速いのに』と思っていた自分が恥ずかしい。


台風の中スリップすることも無く、最後の数キロで画鋲踏みつけてパンクしたもののそれまでは何度も無しだったので、マラソンレーサーはなかなか良いタイヤのように思う。








最後に、福岡と近畿おもわず2つも台風ブルベが続きました。
私は2度とも幸運にも無傷(?)で済みましたが、世間から見れば台風の中走るのはキ○チガイです。
何かあれば『台風の中自転車なんかで走ってるからだろう。自業自得』と言われてしまうの仕方の無いことだと思います。
台風の中走った自分は馬鹿ですし、何かあって家族を悲しませることになっていたら…っと想像すると今でも怖いです。
分別のある大人としてDNSするのは正しいですし、途中で危なくなる前に退避するのは正しいです。
どうか、皆様台風の中走るだなんてことをまねする事の無いようにお願いします。




もう二度と台風の中走りたくないと思ったこの3週間の出来事でした。