ツールド美ヶ原2016 走行記 史上最大のリカンベントヒルクライム その2
さて、10人出走となった美ヶ原ヒルクライムのリカンベントクラス。
私が知る中で一番出走台数が多い2016年の美ヶ原ヒルクライムがもうすぐ号砲がなって始まりますよ。
レースが始まる前にここへ至るまでを振り返ってみよう。
初めて出走したのは2008年のころ。
当時はまだリカンベントに乗り始めたばかりで登坂なんて嫌いでしたが、『ヒルクライムレースにリカンベントクラスがある』ということに感動してはるばる大阪から参加したら悪天候でレースが中止になるという予想外の結果。
交通費も勿体ないし『レースは中止になったけど雨でも登ってくる!』と勢い込んで表に出てみたは良いがあまりの豪雨と長野の寒さにやられて宿から1kmも走らないうちに帰ってきました。
しかも輪行して持って行ったリカンベントがOptimaのLynxxですよ。重いんですよLynxxは。どうしてくれるんですかこの肩の内出血は!
そんなさんざんで情けないのがツールド美ヶ原の初体験。
その後2009年に再度参戦して、1時間51分でなんとか完走したものの雨が降っていて景色なんて見えないし、寒いし。
そして2013年に車に撥ねられて頭蓋骨と頸椎骨折、頸椎損傷という大怪我を経て、昨年の2015年にツールド美ヶ原の復帰第一線。
頸椎損傷による体の麻痺が残る中ツールド美ヶ原を走り切れたというのは本当にうれしかった。
タイムはさんざんだし、途中転倒するし、激坂は登れないしで良いところなしだったけど、成績なんかどうでも良くて走り切れたのが本当にうれしかった。
そんな2015年を経て復帰2年目の2016年のツールド美ヶ原。
今年は1月から練習を積み重ねて来て、怪我する前のようなペダリングもなんとなくできるようになった。
2016年の今年は去年達成できたことは当然出来る。
私は去年の私を超えて更なる高みに登るのだ!
ということで2016年のツールド美ヶ原の目標設定。去年は完走することが目標だったけど、今年はそんなもんできて当然だしねぇ〜
1.激坂で足つきしない
2.昨年のタイムから6分短縮
あと一つ『3位に入りたい』という目標もあったが、今年は関西から友人たちを連れてきてしまったので私が3位に入るのは絶望的だ。
まえさんやSDVのオーナさんに勝たねばならない。SDVのオーナさんには去年序盤に抜かれてそれっきりだったからなぁ〜
まぁ、3位目標は奇跡的に出来たら良いな。ということで。
そんな感じで、三枚目要素を極力排除して二枚目までは望まないけど普通にヒルクライムすべくレースの号砲が鳴った!
例年通りスタートダッシュをしてトップで温泉街に入る。
温泉街では沿道の皆さんが応援してくれているので手を振って挨拶しながら登っていく。
トップでいられたのはほんの一瞬で、トライクのうっしーさんにあっという間に抜かれ。
えむきゅうさんやまえさんにもあっという間に抜かれ、SDVのオーナさんにも抜かれあっという間に順位を落とす。
まぁ、しょうがないよね〜私は麻痺のせいで体幹があまり動かないからパワー出せないし登坂遅いもんね〜
温泉街を抜けた激坂区間を登っていく。
昨年転倒したポイントもクリア!良い感じに登っていく。
激坂の終焉のヘアピンが見えてきた、やった!ここさえ超えれば第一目標の『足つきしない』という目標はクリアできる。
そう思いヒィヒィ言いながら激坂を登っていくと前方から『パーーン!』と大きい破裂音がした。
あぁ、誰かバーストしたな。こんな激坂区間でかわいそうにね。盛大な破裂音だったからチューブがタイヤに噛んでたのかな?
整備不足ならまぁ自業自得だけどさ〜
前方の右の路肩で止まっている選手がいる。
あの人がバーストした人か。かわいそうに。
…?
なんか見たことのあるごっつい上半身????
まえさんやん!!!!!!
おいおい大丈夫かよ〜『おーぃ、まえさん大丈夫か〜?』と声かけたら注意が逸れてタイヤに踵ヒット!!!
あああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああ
ああああああぬああああ
あああああああああああああああ
足つきしました。
あとちょっとで激坂区間終わりなのに、あとちょっとで足つきしない目標クリアできたのに。
やっちまった〜〜〜〜〜〜
まぁ、レース中の激坂区間に他に気を取られた俺が悪い。
気を取り直して先を急ごう。
(まえさんがパンクで停止してるだとぅ?これは3位奪取できるちゃーーんす!)
激坂最後のヘアピンを押し歩きしてからリスタート。
4.4km地点CP1美鈴湖に到着。
去年のタイムからマイナス4分で進行中。
なかなか良いペースだ、この先さほど難所は無いので第一目標の足つきは逃したが第二目標は達成できそうだ。
ちょっと序盤に三枚目要素が入ったがもう大丈夫。華麗に登坂を制覇して俺は去年の俺を超えてやる!
次のCP2は8.2km地点。コースは全長21kmだけど16km地点以降は下りと平坦が出てくるのでCP2が登坂パートのおおよそ半分くらい。
CP2を超えて昨年よりマイナス5分進行。
うん!良い感じ。行けるぞ!
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行けるはずだった。
あのまま行きたかった。
あのままゴールへ突っ走ってクールに決めたかった。
昨年のタイムを6分とは言わず10分、いや15分、いやさ20分短縮して『2時間を切って1時間台でゴールしてん凄いやろう!』と自慢したかった。
しかしそれは叶わじ。
CP2を超えた頃からだんだん視界が狭くなってきて、意識がぼんやりし始めた。
最初は貧血か?と思っていたがだんだん脚に力が入らなくなって、眠くなって、めっちゃお腹がすいて…
あかーーーーーーーーーーーん!
ハンガーノックやん!!!!!
なんでだ?
たかだか2時間ちょいのレースでなぜハンガーノックになるのだ?
あれか?消化が良いようによく噛んで晩御飯と朝ごはんを食べたからか?
よく噛んだから満腹感がでてごはんおかわりできなかったからか?
いつも通りごはんをワシワシ食べておかわりすべきだった。
お腹がすいたら自転車進まへんねーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!!
もうそこからはパフォーマンスはがた落ち。
いつもの練習ならば何か補給食を持ってるが、今日はレースだ。
飴玉一つ持ち合わせていない。
山の中だからコンビニもないし、自販機もない。
このまま残り10kmをなんとかしのがないといけない。
しかしどんどん体は弱っていってフラフラと登ってく。
そうこうしているうちに下山してくる選手とすれ違うようになった。
視界が狭く意識レベルが引くくパワーがないのでフラフラ走る俺。
右は下山でスピード出しておりてくる選手、左は崖。
あかーーーーーーーーーーーーん!
右に寄れたら衝突事故、左に寄れたら滑落事故やん!!!
これはまずい、もうタイムがどうこうとか関係ない。生きて帰らねば!!
途中何度か完全に停止して休息を入れながらCP3を目指す。
CP3に行きさえすれば人がいる。
人がいるんだよ、頑張れ俺。
しかしどんどん蝕まれる体力。
もうだめだ〜
ハンガーノックになって食べ物もない場合の唯一の手段をとることにした。
自転車を停止。
自転車を降りる。
自転車を地面に寝かせる。
ヘルメットを外す。
路肩に寝転ぶ。
(お休みタイム中( ˘ω˘ ))
そう、レース中に寝たのだ!!!!
なにしてんの俺w
いや、もーしかたがないじゃない。食べ物がなければ寝るしか回復手段がないもの。
でもね。寝るには大問題があってね。
寝転んでたらさ、聞こえるわけさ。
『うぉ?なんだ?』
『リカンベントだ』
『誰か倒れてる! だいじょうぶでーすかーーーーーー!!!!???』
あかん、下山する選手にめっちゃ心配かけてる。
ごめんなさい。お腹空いてへたり込んでるだけです。
ごめんなさい。なにか食べ物ありませんか?
あゝ、あっという間に行き過ぎて行かれた。
なにか食べ物を恵んでください…ひもじいです…
まぁでも寝転んでたのは3分にも満たない時間だろうけど、ちょっとだけ回復してCP3を目指して走り出す。
CP3まであと50m。
下車して徒歩でCP3へ。
CP3には希望が、この局面を打破してくれる人がいるはずだ。
どこだ?どこに居る?
いたーーーーーーーーーーーーーーー!おばちゃん!!!!!!
私は気力を振り絞って声を出す。
『あ…飴を持っていませんか?飴をください』
そう、おばちゃんなら飴を常備してるはずなのだ。
ああああああああああああああああああああああああああ
ありがとう!!!!!!!!
おばちゃんの差し出す飴の袋から飴をわしづかみにして頂く。
のこり6.3kmなんとか行けそうだ。
ありがとうおばちゃん!この『カンロ 濃い贅沢 金のミルクキャンディ』の味は忘れないよ。
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飴を舐めて糖分を得てちょっと覚醒して最後のアップダウン区間へ。
下って、登って。
登りの途中の立哨のおじさんに『お腹空いて力はいらんわ〜』と軽口をたたく元気も出てきた。
するとおじさん『おにぎりだったらあるよ!』
おにぎり欲しいけど、おじさんのお昼ご飯だろうし残り500mだし、このまま頑張るわ!
ありがとうな!おにぎりのおじさん。
しかし、ゴール前の登りがつらいのなんの。
飴ブーストも切れて目がチカチカしながら登る。
もうしんどいから歩いてゴールしようか?と思ったが、下山まちの選手がみんなこっちを見てる。
あかんやん、そんな無様な姿見せられへん。
『リカンベントが最後あるいてゴールしてヤンの。ププププ』とか思われたら嫌やん。
なけなしのプライドと見栄を振り絞ってゴール!
仲間たちが迎えてくれたが、もはや精も根も尽きてリアクションする元気なし。
地面に倒れ伏して身動き取れず。
下山用のカバンにチョコレートが入ってるがそこまで取りに行く元気などなし。
もーあかんねん。
倒れ伏す私にうっしーさんがコーラをチョコレートを提供してくれた。
貪り喰う。
コーラ旨い!
チョコレート旨い!
コーラは!このコーラは!命の水だ!!!!!!!!ヽ(`・ω・´)ゝ☆シャキーン
やっと意識がしっかりしてまえさんの買ってきてくれたおやきもくさぼり喰ってやっと復活。
ほんとうにうっしーさん、まえさんありがとうございました。命の恩人です。
表彰式で壇上に上がる皆をまぶしく見ながらツールド美ヶ原が終了したのだった。
さて、事前に建てた目標は?
1.激坂で足つきしない
→足つきどころか地面に寝転んでましたしwwww
2.昨年のタイムから6分短縮
→昨年のタイムから20分加算
いやいやいや、そもそも完走すら危うかったし。
アハハハハハハハハハ全部未達。
あ〜あぁ、序盤はええ感じで二枚目に進行してたのに結局去年を上回る三枚目的な結果になってしまった。
途中経過や事前準備がどうであろうともレースは結果がすべて。
これが私の今の実力なんだよね。
やっちまったなぁ…やらかしたよなぁ…
まぁ終わったことは仕方ない。
来年このようなことの無いようにご飯は一杯食べるようにしよう。
来年の目標は今回のでとってもハードル下がったしね。
来年の目標設定
1.地面に寝転ばない
自分のレース結果はさんざんだったけど、今回のツールド美ヶ原は関西から友人多数参加してくれて今までにない大人数のレースになってとても楽しかった。
来年はもっとリカンベントでの参加者が増えると良いのにな。
ハンガーノックでフラフラになった情けない私でもなんとか完走できたし、しんどいけど楽しいよ。来年一緒に如何ですか?
美ヶ原ツアーのみなさんどうもお疲れ様でした&運転ありがとうございました。
4人でワイワイ賑やかなツアーで本当に楽しかったです。来年はおやつ担当決めて行きましょうね^^!