パリまであとなんコギ

交通事故にて頸椎骨折し障害を得たリカンベント乗りが再びパリ・ブレスト・パリを完走するまでの記録(予定)

PBP2011 5.0日目 パリまであとなんコギ?

第5日目 行程 
PC12 モンターニュオーベルシュ(1090km)〜PC13 ドルー(1165km)〜ARRIVE サン=カンタン=イブリンヌ(1230km)



PC12 モンターニュオーベルシュ(1090km)〜PC13 ドルー(1165km)

PC13 ドルー(1165km)〜ARRIVE サン=カンタン=イブリンヌ(1230km)



■25日 01:04 PC12 モンターニュオーベルシュ 1090km 79時間34分経過


モンターニュオーベルシュまでの区間はあまり記憶がないが、しかしモンターニュオーベルシュに到着する直前がアホみたいな坂、坂、坂。
だれやこんな坂の上に体育館建てたのは!いてまうぞ!と呪いの言葉を吐いたことは覚えてる。
このPCは嫌いだ。


深夜1時。眠いPC12のクローズ時間は1時56分、50分の貯金。
ここまで来たら残りは140km。楽勝やん。もはや完走は俺のものだ!!!
PBPを走り切って俺はリカンベントマイスターになるのだ!!!!


しかし、本当にブレストから折り返してからの行程はあっという間。
ブレストの港を見てウルッと来たのがついさっきの様。というか、23日の12時着だったから感覚的にはほぼ『昨日の昼』だもんね。


さて、次なるドルーまでは75km。クローズ時間は7時12分。
ほどよく余裕があるが、PC12 モンターニュオーベルシュのクローズ時間まで眠ろう。
最高潮に眠い。
おやすみなさい…ぐぅぐぅ


ふと目が覚める。
目覚ましが鳴ったか。今は2時くらいかな?



うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

2時44分だと!!!???????
寝過ごしたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!


鈍い頭で計算する。
4時間半で75km=Ave16.6km/h


いつもならば何の問題もないアヴェレージだけど、すでに1000km走って足は出涸らし、おまけに糞眠たい。
絶対に途中で眠くなってパフォーマンスがガタ落ちになる自信がある。


嗚呼、往路のルディアック〜カルエクス=プルゲの悪夢再びだ。
もう無理か、無理なのか。
涙目になりながら自転車に飛び乗り走りだす。
あたりは暗闇に包まれている…


走り出してしばしのち、案の状眠くなる。
しかし、今はスポット仮眠とってる場合じゃない。
目を覚まして走るしかない。
ここが正念場だっ!

しかし、眠気には勝てず。
やむなく、秘薬の無水カフェインを服用することに。
無水カフェインを服用すると眠気が一時的に解消されるが、引き換えに胃が荒らされる。
胃はすでにアレアレだ。まさにALLEZ!ALLEZ!
この上にさらに胃が荒れる薬を服用するとどうなるかは目に見えている。
が、今は飲むとき!!


いつもドロドロに眠いときは無水カフェインを服用しても効かないときが多いが、今回は今の今まで秘薬を使用してなかったので幸いにも効き目がでた。
中盤までのアップダウン区間をなんとか乗り越える。
ここから先は45km下り基調だ、リカンベントでの時間の稼ぎ時っ!


しかしっ!キタ眠気きたーーーーーーーーー!
さらに秘薬を投入しても効かないことは経験上わかってる。
でも目を覚まさねばならない。
こんなときは!!!!


大声で歌うに限るっ!!!!!


私のブルべでの愛唱歌上を向いて歩こう』の出番だ。『SUKIYAKI』だぜ!

と、かなりのエエ声で歌いつつ、口笛を吹きつつ、眠そうにふらふら走ってるランドヌールたちをごぼう抜き。
まさにごぼう抜き。たぶん100台近くは抜いたかと思われる。
しかし、フランスの夜中走ってたら背後から口笛吹くリカンベントや歌を歌うリカンベントがバビューンと追い抜いて行ったらびっくりするだろうなぁ。
これで彼らの目も覚めればよいのだけれど(笑


今、もてるすべての力を注いでペダルを踏むっ踏むっ
しんどい、休みたい、眠たい、やめたい。間に合わなくてもいいじゃないか。やめてしまえ。
こんなしんどい思いして何のために走ってるんだ、馬鹿か?
今地面に横になったら幸せになれるぞ?
などと悪魔がささやく。


あほかっ!
俺は何が何でもパリまでたどりつくのだ!!
パリまであとなんコギ!!!!


■25日 06:33 PC13 ドルー 1165km 85時間03分経過


着いてみれば40分残し。
よかった、間に合った。
ブルべカードを確認する。
次はサン=カンタン、クローズは12時。65km。


ちょっと余裕ある。
もう飯もイラン、胃が最高潮に死んでる、なんも喰えん、寝る…



30分眠ってすっきり(の訳はないが)
見回すと、皆疲れた顔をしてるがその表情はなんだか明るい。



ここまで来たらゴールは見えてる、うれしいよね。


7時30分最後の行程サン=カンタンまで65kmを走り出す。
12時まで4時間30分、Ave14.4km/hで達成できる。
最後の区間だ、今までの苦労をかみしめつつゆっくりと走る。


夜が明けて明るくなる。

嗚呼、綺麗だ、最後の朝にふさわしい。
思わず胃から熱いものが込み上げてきた。
あれだけ苦労したのに、あっという間だったなぁ、寂しいなぁ、もう終わりなのか…


時折眠くもなり、スポット仮眠もとる。

自分撮りもしてみる。

目が死んでる……


35km地点からちょっとした登りがあり。
ひぃひぃ言いながら登ってると、ローラブレードみたいなものを履いたおっさんが居た。
うわーーーーーーーーーーーーーー俺の後をぴったりついてくる。

なんやねんこわいわっ!
そのおっさんは俺よりも先に峠の頂上に到達し「がんばりやー」と言って去って行った…
フランス人はよくわからん(笑


PBP全区間中一番路面が荒い、というかぼこぼこ?
振動であ”あ”あ”あ”あ”あ”〜ってなるくらいの路面。
を超えてまた登って帰ってきた市街地へ。


車も信号も増えてくる。
走りずらい。
残り10数キロが長い。


そして返ってきたスタート地点!!!
沿道の応援もいっぱい!!!

メルシー ボンジュールと彼らに応えつつゴール地点へ。

ブレストについたときに感動で思わず涙がでそうになった。
サン=カンタンについたときはさぞかし熱いものが込み上げてくるだろうなと思ったら!!!!
もうね、眠気と疲れと胃の気持ち悪さでま〜たく感動など湧き起こらず(笑
やっとこの苦痛から解放されるという安堵感だけだった。
どないやねん、あー疲れた。
しかしこの解放感。普段のブルべとは比較にならないほどの解放感。
さすがに4日も抑圧したあとの解放感は格別、ましてこのブルべはあの偉大なPBPなのだ。
ハレルヤ!


手元の時計で11:25ゴール。
したが、なんだか計測チップの調子が悪いようで、いったん戻って再びゴールラインを通過。
(それでも、計測できてなかったようだが…)


やっと終わった〜とひょこひょこと体育館へ向かい、ブルべカードへ最後のスタンプをもらいに行く。
最後のコントロールのおっさんは恰幅の良い髭の爺さん。
最後も熱く握手をして私のPBPのチャレンジは終わった。
爺様のニヤリとした顔が印象的であった。




おまけ
7分インターバルで撮影した画像をつなげたPBP動画前編、やっつけ仕事。
これで片道分のPBP走行感覚がえられ…る?