パリまであとなんコギ

交通事故にて頸椎骨折し障害を得たリカンベント乗りが再びパリ・ブレスト・パリを完走するまでの記録(予定)

PBP2011 3.2日目 貞操の危機

第3日目 行程 
PC4 ルディアック(449km地点)〜サンニコラデュベルム(493km)〜PC5 カルエクス=プルゲ(525km)〜PC6 ブレスト(618km)〜PC7 カルエクス=プルゲ(703km地点)〜サンニコラデュベルム(493km)〜PC8 ルディアック(782km地点)


PC5 カルエクス=プルゲ(525km)〜PC6 ブレスト(618km)


PC5クローズ直前に何とか間に合い一息つく。
後で見返してみたらPC4〜PC5のアベレージは21.2Km/hだった。
信号が全くないとはいえ、私の走力で眠さと疲れをぶら下げた状態でこの平均値はちょっとびっくりな速度。やればできるやん?


さすがに8割走のダメージは大きく、体が休息を求めている。
しかし、ここで休むわけにはいかない。いま貯金は0なのだ。
というか、ぶつぶつと言っている傍から借金がかさんでるぞ?俺。


元気ならばすぐに走り出すのだが、今は補給と休息が必要だ。


ごはんっを食べれば元気になる!!!!!

とレストランでガッツリ飯を注文。

と空元気を出してみたが、タンティニアックからの胃の違和感が最高潮に達しており濃いご飯を受け付けない。
というか、このマカロニ味ついてないぞ!!!!シェフはどこだ!!一言文句を!


というわけでマカロニ以外はなんとか完食して20分休眠。


どろりとした感覚で目覚め。
さぁ、次はいよいよブレスト!


いくぞ天弓号!約束の地ブレストへ!


と意気込んだは良いものの、飯と仮眠で既に1時間借金発生。
えーっとブレストまで93kmクローズは13時19分。今は8時。
んんーーーーけいさんできない。


残り5時間15分で93km、Ave17.7km/h
プロフィールは340mくらいの峠を含む大きなアップダウン。


これはまた、厳しいぞ?


とりあえず走り出す。


もう胃の調子が悪すぎて水を飲むとウェっとえづく始末。
水が飲めない…
サイクリストにとって水は命だぞ?
でも、飲めないので仕方ない。コーラなら比較的飲めたので、水分補給はコーラ頼みに。


そして、眠気も最高潮。
スポット仮眠をしようにも雨と霧で地面はしっとり。
横になる場所がない。


あ、石の階段っぽいんがあるとうつろな頭で横になって目覚めたら、キリストさんの十字架だったり。

草むらによこになったら、噂の赤い大きいナメクジがこんにちはしてきたり。


めっちゃ眠いわぁ〜と思いつつ登り基調の道を進んでいく。
本格的な登りの手前で眠くなる。
側道の道路で横になる。
遠くの民家から犬の吠える声がきこえて…る…ぐぅぐぅ…


 おい、むっしゅ、だいじょうぶか。


と、おっさんの声で目覚める。
どうやら犬が吠えてた民家から不審に思った家人が外の様子を見に来た模様。
するとランドヌールが行き倒れてるから声かけてきたと。
振り返ると、民家の門には奥さんらしき人も心配そうにこちらを見てる。


ぼやーっとする頭で答える。
 

 うぃ、びあんびあん


すると、彼はフランス語で話しかけてる。
分からんちゅうねん。でも、おそらく以下のようなことを言ってたのだろう。
 

 にいちゃん、大丈夫か眠いのか疲れてるのか?ウチで寝ていくか?暖かいベッドあるで。
 なんやったら、あったかい食事も用意するで。むりせんと、やすんでいきなはれ。


嗚呼、暖かい心だと思いつつも、時計を指さして
 

 時間やばいねん。よりたいけどごめんな。


と日本語で伝え、めるしぃい〜と手を振りながら再出走。
後からみんなにこの心温まるエピソードを伝えたら『お尻が!』と言っていた。
なんて、心の貧しいやつらだ(笑


本格的な登坂に入るとあたりは一面の霧霧霧。
なにも見えない。
どれくらい登ってるかもわからず、それでも淡々とペダルを踏む。
だいたい5kmほどか?気の遠くなるような時間踏み続けてようやく峠の頂上に到着。
すっかり体は霧で濡れそぼっている。


これから長いくだり。気温は12度程度。
体を冷やすと大変。と、合羽を着こむが、外人たちは半袖で下っていく。
あの人ら、寒くないの?


15km位延々と下る。
霧で前が見えない。リカンベント特性の下りが生かせない。


下った先の街のバールにて甘いお菓子とコーラを補給。
胃はムカムカするが、とてもうまかった。幸せ。

あとは大きめの丘を越えれば下り基調。
なんとか時間も間に合いそう。


そうしてっ!とうとう見えてきた海!!!!!!
やってきました、港町ブレスト!!!!
やっと景色が変わったwwwwww


これまでずーーーーーーーーと同じ丘陵地帯の風景でたまに牛や羊がでてくるのが関の山で飽き飽きしてたところ。嗚呼海って良いいなぁ。


海が見えた瞬間、これまでの苦労を思い出し熱いものが込み上げてきた。胃的なものではなくて。
思わずホロリときそうになったが、いやいや、この感動はゴールまでとっておくのだ。



■23日 12:49 PC6 ブレスト 618km 43時間19分経過


やっと折り返しだ!!!

(3.5日目へつづく)