パリまであとなんコギ

交通事故にて頸椎骨折し障害を得たリカンベント乗りが再びパリ・ブレスト・パリを完走するまでの記録(予定)

キャノンボールに憧れて-リカンベントで挑戦-  その1

振り返ることちょうど半年前。
あれはまだ真冬の真っ盛りだった。
1月の終わり、ふと決心してしまった。『キャノンボールにチャレンジしよう』と。
今から考えると当時はちょっと調子に乗っていたのかも知れない。
R5000認定を頂いたり、ブルベ雑誌に掲載されたり、シクロでC2に昇格したり…
でもどれも自転車乗らない人に言っても余り通じず自慢にならない。
ほら、「うぉ?すごーーーい!!!」なんて言われたいですやん?
ブルベで600km走ってきました、といっても距離感が異常で余り伝わりづらいしね。
だったらもっとキャッチーで伝わりやすいタイトルがほしい。


『24時間で大阪東京間を自転車で走りきった』


なんて誰にでもわかり易い!しかも天気予報をみると寒波が来てるが強い西風が吹くとのこと。大阪から東京へ移動するならば文字通り強い追い風になるだろう。
などと、思いついてしまったがために死の淵を覗き見る事になってしまうとは、このときは知る由も無かった。



チャレンジすると決めたなら準備としてはコースを決めるだけ。
過去に東京〜静岡、大阪〜三重までは走ったことあるので大部分の道路感はある。愛知県がすっぽり抜けてるがなんとかなるだろう。静岡のバイパス区間の面倒くささも経験済みだ。
というわけで、さっくりとルートをきめた。


前半 大阪〜袋井
http://yahoo.jp/waAvN6

よく自転車で走る笠置、伊賀を抜けて亀山から国道1号線へアプローチ。しばし国道一号線を走り国府から362号線に乗り換え浜名湖北をパスするルート。柘植までの山岳エリアさえぬけてしまえばあとは平坦のみ。


後半 袋井〜東京
http://yahoo.jp/ak9rdG

袋井からはバイパスなどを回避しつつ沼津へ。箱根峠は回避して熱海街道から鷲ノ巣山を超えて熱海に抜ける。小田原まで出てしまえば後は国道一号線をトレースしてド平坦を走るだけで東京へ到着。


できれば箱根の山も越えたかったが、私の足で箱根を組み込んでしまうと24時間切りは難しくなるので回避した。
いやそもそも528kmのコースを24時間で走るとすると達成下限のアベレージ速度は22km/時になる。普段のブルベでのグロスアベレージは18km/時。それを考えるとなかなか大変だ。普段のブルベではがっつり飯休憩を取ったりしていて削れる時間は多いとはいえ達成速度との差は大きい。
以前からキャノンボールには興味があったが、『達成できないだろう』という思いがあったので二の足をずっと踏み続けていた。
しかし、チャレンジしてみないことには力不足を明確にすることはできないし、達成できないからチャレンジしないのではいつまでたっても達成することなどできないだろう。
『駄目でもともと』今回はそんな気持ちでの挑戦だ。
今回は下見みたいなものだ、本命は暖かくなってきた春、5月あたりのチャレンジへの前準備だと思えば気も楽だ。


使用するバイクはもちろんリカンベントで、チタンハイレーサーだ。今まで乗ってきたリカンベントの中ではもっとも軽く、加速が良く、巡航速度維持が楽で乗り心地のよい相棒だ。
こいつに寒さ対策もかねてフロントフェアリングを装着する。これで空力特性が向上し、寒風による足の冷えを回避することができる。
ライトはいつもならハブダイナモで安心の匠光楽ライトを使用するところだが、今回はディープリムのホイールを使用するのでバッテリー式のライトを装備。重量が500gと重めだが、光害とも言える3000ルーメンもの明るさを誇るFandyFire UV-S5が行方を照らしてくれる。


主食は簡単に手に入って軽いブラックサンダー。寒いためエネルギー消費も激しいので最低でも1時間に1枚は食べるようにする。水は冬場だしあまり汗をかかないので少なめにする。ダブルボトルだが、両ボトルとも半分程度しか水を入れずにすることとした。


あとは普段のブルベ通りの服装と装備だ。アソスのフグジャケットはこの冬も私の身を守って暖かくしてくれるだろう。




朝9時
スタート地点の梅田新道交差点の道路元標に向かう。

天気は晴れ、気温は1度、風は西風だ。
サイクリングには最適なコンディションのなか東京へ向かって走り出す。
この先には鉄の塊とのブツカリ稽古が待ち構えているとはしらずに…


(つづく)