パリまであとなんコギ

交通事故にて頸椎骨折し障害を得たリカンベント乗りが再びパリ・ブレスト・パリを完走するまでの記録(予定)

キャノンボールに憧れて その2 -馬の骨に西風-  

いざキャノンボールについての振り返り日記を書き始めのは良いものの、さして筆も進まずなんだか1ヶ月も間があいてしまった。半年以上も前の話しだし、思い出して書くのもなかなか記憶が定かではないところもあって大変。面倒ともいう


1月26日の午前9時。
颯爽と大阪の道路元標をスタートした訳ですが、装備などを振り返ってみよう。


  • 服装

上から順に
ヘルメット
ヘッドキャップ
ネックウォーマ
リフレクター付き蛍光ベスト
フグジャケット
メリノウールインナー
フラッドラッシュパワーメッシュ
秋物グローブ
腹巻
ウィンドブレークタイツ
ウール靴下
ハーフシューズカバー


予備防寒着:レインジャケット、ウィンドブレーカ下


季節は今とは間逆の真冬。出発時点の気温は0度で午前中には4度、午後2時には8度くらいまで上昇し、夕刻17時には2度くらいにまで落ち込んでいた。
天気は晴天だったが、天気予報では寒波がやってきていたため気温は他の日よりも低めだった。気温が低くてあまりよくないコンディションに思えるが、寒さの対策さえ行っていれば良い訳で春の寒暖の差に苦しんだりや夏の灼熱の暑さのことを考えるとやりやすい。ただ、寒いため体温維持をするために基礎代謝が増えるので消費カロリーが上がるのでまめに補給しないといけない。


冬場のライドで悩ましいのは手と足の冷えで、特に手の冷えはブレーキングやハンドリングに影響がでてしまう。それに何より寒いしね。末端が冷えると体全体が寒くなるしね。
分厚い手袋を装着すると操作性が落ちてしまうし汗でインナーが湿って冷えたり、薄手だとそもそも防寒性能が低くて手が冷えてどうにもならなかったりする。
冬開催のブルベを通じていろいろと手袋を試してみたが、なかなか満足がいくものに出会えなかった。しかし、今年に入ってとうとう冬の指の冷え対策の最適解をえた。


軽快車などでよく利用されているハンドルカバーだ。
見た目はいまひとつだが、内張りがボアで温かさはすばらしい。真冬なのに素手でも問題ないくらい。
お値段も1000円程度とお財布にもやさしい。さらに雨用のカバーを作れば冬の雨天ライドでも快適になりそうな気がする。


足の冷えに関しては問題ない。今回使用したリカンベントにはフロントフェアリングを装着しているので風が直接足に当たって冷えることがあまりない。ロードバイクなどならウィンドブレーク素材やネオプレーン素材ののフルシューズカバーなど重装備がほしいところだけど、ハーフカバーで十分だった。
さらにフェアリングは胴体に当たる風も軽減してくれるので体全体の冷え対策もしてくれる。空気抵抗低減に寒さ対策。まさに一石二鳥のよい装備だ。夏に装着すると暑くてたまらないのが難点だけど…

  • 持ち物

ボトルは2本。片方は水でもう一方はシトリックを溶かしたドリンクでどちらもボトルのほぼ半分くらいまで入れておく。満タンにしておくほど冬場はのどが渇かないので十分だった。できるだけ軽量化もしたいしね。
ライトはメインが3000ルーメンのFandyFire UV-S5、サブにSG-305閃とヘッドランプの3つ。リアはキャットアイのTL-LD610にバイクレーンをレーザーで路面に照射してくれるライト、予備に小さめのLEDライトの3つを用意した。
思えば出発前にメインのフロントライトのバッテリの持ちと取り付け位置に不安を感じたのだけども、定番の匠楽光にしておけばよかったのかも知れない。そして、もっと側面へのアピールをしておくべきだったかもしれない。このときは『反射ベストがあるから大丈夫だろう、いつも大丈夫だし』っと甘くみてしまったのだった。


ほかの荷物はいつものブルベと同じで特筆すべきことはない。
お薬セットにハンカチ&カイロセットにパンク対策セットに工具類一式に予備ワイヤに予備電池類。
たしか以前持ち物についての記事を書いてたけど、結局あまり持ち物は減らせずじまい。
本当はもっと絞れるのだろうけど『何かあったら』とか『もしものときに』ということを考えるとどうしても減らせない。軽装でロングライドに挑める人がうらやましい。

ブルベの所持品再考

前置きがかなり長くなっているけれども最後にルートのことなど。


前半:大阪〜袋井


後半:袋井〜東京


グロスアベレージ22km/hで事前にしらべておいたコンビニのチェックポイントの時刻を指標にする。


大阪  0km    9:00
四日市 126km  14:35
岡崎  198km  18:00
袋井  278km  21:38
静岡  338km   0:21
沼津  395km   2:57
湯河原 428km   4:27
茅ヶ崎 472km   6:27
東京  528km   9:00


どうにも寒さに耐えられなかったり心が折れた場合は駿河健康ランドに退避することにしておく。
ほぼ1号線沿いに走るので人里近いしDNFするにはあまり困らないであろう。


大阪〜四日市 126km地点

朝9時、道路元標を出発。
国道1号線に走り関目で国道163号線にはいる。
ここから清滝峠を越えて木津川沿いに走って国道25号で伊賀、加太のダートを超えて亀山まででて再び国道1号に合流する。
本当だったら国道1号線沿いに京都、滋賀、甲賀を走っていくのが本式のキャノンボールなんだろうけど国道163号と25号のほうがちょっと距離短縮できる。交通量と信号の数も国道1号を走るよりはマシなので快適に走りやすい。おまけにこのルートは良く自転車で走る道だから走りなれてるので安心なのだ。


関目、四条畷と走っていくがまだまだ市街地なので信号が多い。リカンベントはロードと比較するとストップ&ゴーが増えるとグロススピードが落ちやすい。加速に時間がかかるのでじわじわ差が開く感じ。
ロードだとダンシング10回もすればさほど労力なく巡航スピードに上がるけれども、リカンベントだと体重を使えないので足の筋肉のみが頼り。踏み込めばそれなりに加速は早くなるけども無駄にパワーを使うことになってしまうので無理なくジワッと加速する。脚がある人なら大丈夫なんだろうけど、私の脚では無駄遣い厳禁なのだ。


木津川沿いに入ってようやく信号から開放される。快適に走れるようになるも、このあたりから若干の登り基調になる。しかし、天気予報どおりの強い西風が味方してくれて軽い力で巡航速度を維持できてる。気温は低いけど追い風のため体に風が当たることはなく寒さもあまり感じない。これは心強い西風だ。


そういえばキャノンボールwiki

《平地の巡航速度》
平地巡航なら28kぐらいでギリギリ。30超えてれば問題なし。


なんて書いてたけど、あれは本当なのだろうか?まぁ、今回それを確認するためと言うのものチャレンジの目的の1つ。平地は36〜32km/hでを巡航を目安に走っていく。
伊賀を過ぎて国道25号線の悪名高い加太ダートを越えていく。ここはパンクとスリップが心配なエリアなのだけど、特にトラブルなくクリアする。
ふとグロス速度を確認してみる。


え? Ave24km/h???


加太までは私の脚では速度の落ちやすいアップダウン区間だった。だから22km/hくらいの想定だったので予想外。西風が効いてるのか意識せずがんばってるのか…
頑張ってるなら危険だ。走り始めて3時間。まだまだ先は長いのだから。


関、亀山を過ぎて国道1号線に合流して四日市へ。

四日市と言えば名物のトンテキだよね!!!
いつもなら立ち寄ってグルメしていく所だけど、今日はそんなことはしていられない。
トンテキの味わいを舌に思い出しながらコンビニで補給。

四日市 
時刻 14:00 
走行時間 4時間58分
距離 126.2km
平均(グロス) 25.3km/h
平均速度(ネット) 28km/h

35分の貯金を得て、再び走り出す。



四日市〜岡崎 198km地点

ここまでは東向きの進路であったが、四日市からは伊勢湾迂回のため名古屋方面へ北向き進路に変わる。
ここまで味方だった西風が追い風から横風に変わる。
フロントフェアリングを装着して車長がより長くなったのが災いして横風の影響を受けやすくなってて、風にあおられること数回。巡航速度も28km/hあたりに落ちてしまう。
桑名まで出れば東向き進路に変わるので20kmほどの辛抱だ!っと自分を励ましながら走る。


嗚呼、トンテキが食べたい。
おにぎりとブラックサンダーでは物足りないと腹が訴えかけてるのか。
トンテキ食べたい。


トンテキそのものになってしまった舌を抱えつつ、辛抱して走って桑名に入り進路は東向きになった。
これで再び追い風だぜっ!楽して走るぜ!っと思ったが、今度は名古屋市街地に入って信号地獄に突入した。

なんだか大阪市街地よりも信号に引っかかる率が高くて、ひどいときには200mも走らないうちに赤信号で足止めを喰らう事もしばしば。
名古屋を自転車で走るのは今回が初めてなのだけど、横道が多いのか?尋常でない信号の引っかかり具合。
名古屋越えのルートは国道1号線から外れたほうが良かったのかもしれない。もっと地図見ておけばよかったか?次への課題だね。

さらに車の運転が荒いような気がする。指示器なしの左折は何度かあったし、左寄り走行の車が多くて車が抜き去るときに擦れ擦れでなんどヒヤヒヤしたことか。


信号に車にと不満が溜まってるところに表れる味噌煮込みうどんの看板。

食べたい!味噌煮込みうどん!!
暖かいよ!!!!きっと。


強い誘惑に揺さぶられつつ、熱田あたりで進路が南東に変わる。
四日市の時のように西風は不利に働くことなく、この後のルートは完全に風が味方をしてくれていた。
また、ルートが南東になってからは信号に引っかかる頻度も減って快適に走れるようになる。


甘いおしることコーラで糖分を摂取してから揚げ棒で油を補給する。おにぎりだけでは油不足なのだ。

岡崎
時刻 17:48 
走行時間 8時間44分 
距離 205.9km
平均(グロス) 23.9km/h
平均速度(ネット) 27.2km/h

四日市からの横風と名古屋市街地の影響でスピードは延びず、貯金は12分に減少してしまった。
この先100mくらいの登坂がちょいちょいあるが、風は味方してくれてるし信号の多い都会エリアも静岡くらいまでないし、まぁ何とかなるだろう。



岡崎〜袋井 278km地点


17時台に入るともうすっかり薄暗くなっている。
ヘッドランプを装着し前後のライトを点灯してナイトラン備える。


豊川あたりで国道1号線を離れて県道5号、国道362号を通って浜名湖を北側に抜けるルートに乗り換える。
静岡ブルべで何度か走ったことのあるルートだったし、豊橋や浜松の都市も回避できるし距離の短縮もちょっとできる。このときのルート取りが運命の分かれ目だったかもしれないのだけど、このときは知る由もない。


車も少なくて信号も少ない。快適に走っていくが街頭が少なくて暗い。
さらに豊川を越えたあたりで雪降りはじめた。風が強いので吹雪のよう。

フェアリングのノーズにも雪がへばりつく。いかにも寒そうだけど、足先は冷えてない。フェアリングが冷気を請け負ってくれているからだ。ありがたいありがたい。


しかし、この夜の月は満月近くで晴れていれば良い月見ランになったはずなのに雪雲が出ていて月を眺められず。
峠を越えて浜名湖北岸に下りるとすっきりと空は晴れて、美しい月が現れた。
イイネ!浜名湖に浮ぶ月模様。疲れた体へのご褒美だ。


浜名湖を越えて袋井あたりで再び国道1号線と合流すべく県道を走っていく。
あたりに田畑が増えて、人家が少なくなっている。
人通りはもちろん車も走ってない。


 人が少ない=街頭がすくない=暗い ということだ。


このあたりから道路はとても暗くなっていく。


グロススピードが23km/hに落ちてきて速度が伸びてない。250km走ってきてそろそろ疲れてきたか?
おまけに無性にカレーが食べたい。
これはエネルギー不足だ。体が熱量を求めてきている。
カレー食べたい。

もうちょっと走れば国道1号だし、お店も出てくるしなんか温かいものを食べよう。
カレーを食べよう。

袋井
時刻 21:17 
走行時間 12時間10分 
距離 277.5km
平均(グロス) 23.5km/h
平均速度(ネット) 26.6km/h


これで行程の半分を消化した。タイム的に厳しいそうだが、とりあえず完走狙いでいこうかね。
もうちょっとでカレーだからね〜っとチョコを頬張り、コンビニポイントはスルーする。
カレーポイントも事前に調べておけばよかったなぁ。



信号待ちで停止中に家人にメールを送る。心配してるだろうしね。
『いま静岡です。寒いわ〜』




信号が青になる。スタートする。
うーん、マジで駿河健康ランドで泊まろうかな?寒いし。この先バイパス区間で面倒だし。




しかし、このあたりの道って暗いわ〜街灯すくなすぎるやろ〜


そして記憶は途絶える。










目が覚めたら何故か寝てる。いや、リカンベントだし寝てるのは寝てるのだけど、寝そべりかたが違う。
体が動かない。
まぶしい、明るい。



ナニコレ????????



え????????




首の骨が折れてる?


そんなあほな。





(走行編終わり。寝そべり編へつづくかも。)