パリまであとなんコギ

交通事故にて頸椎骨折し障害を得たリカンベント乗りが再びパリ・ブレスト・パリを完走するまでの記録(予定)

車からどのようにリカンベントが見えているか?

リカンベントは車から見えづらい(見えない)』それは一般的な定説。
リカンベント乗りなら誰でもが理解している事柄だ。
しかし、いったいどれだけ見えづらいのか?どれだけ見られていないのか?
それを正しく理解している人は少ないと思う。


交通事故して頸椎骨折の大怪我をして以来、自転車に乗るときは極力安全でありたいと考えている。
これからも楽しくリカンベントに乗るためにも、我々が車からどのように見えているのかを確認しておく必要がある。

車からどのように見えるのか。そういった情報がなければ自分で調べればよいじゃない。これは自分だけではなくリカンベントを愛好する仲間たちの役にも立つはずだ。
そんな思いでリカンベント仲間に協力をしてもらって『車からリカンベントがどのように見えるのか検証会』を開催した。

この記事はその検証会で得た情報をまとめたものだ。
リカンベントに乗っている人、これからリカンベントに乗ろうと考えてる人たちの安全と安心のお役に立てれば幸いです。
リカンベントにネガティブな感情を持っている人がこの記事を見ると『こんな危ないもので公道を走るんじゃない』というご意見があろうと思われるが、それはそれで…


前置きが長くなりましたが本題。
検証に使用した機材
自転車:

  • ロード   サドル高さ:95cm 目線高さ:145cm
  • ハイレーサ  サドル高さ:65cm 目線高さ:125cm
  • ミッドレーサ サドル高さ:50cm 目線高さ:120cm
  • ローレーサ  サドル高さ:38cm 目線高さ:85cm
  • トライク  サドル高さ:20cm 目線高さ:75cm

子供自転車の背の高さがミッドレーサ〜ローレーサと同じくらい。
チャイルドトレーラーがトライクと同じくらいの高さと読み替えて頂けると、お子様をお持ちの方への参考になるかと思います。


自動車:SUV


以下の6か所に自転車を置き、運転席からどのように見えるかを確認した。



■車前方10m地点

きちんと全車種見えている。
ローレーサとトライクは車高の低さゆえ何が走ってるのかは理解しづらい。だが『変なものが前方に居る』ことはわかるので見えないということはないと思われる。


■車前方5m地点

一応見えていることは見えてるが、ローレーサとトライクがかなり怪しくなってきた。
トライクは視界から消失する一歩手前だ。


■車前方1m地点

車の鼻先から1m前の地点。
ここで検証をしていた一同から驚愕の声が上がる。
ローレーサとトライクが消えたっ!?
そう、ローレーサとトライクは低すぎる車高のために車の前方に居るにもかからずボンネットに隠れてしまい、ほぼ見えない状態になってしまった。
ローレーサはかろうじてヘルメットの頭頂部と旗が見えているが、もはやこれは『見える』レベルではなくなっており見えないのだ。
トライクなんて一体どこにいるのやら?おまけに旗がやや高めなため車のフレームに隠れてしまい、旗すらも見えていない。


リカンベント乗りが旗を立てる理由は『車からの視認性を高めるため』であるが、もはやここまで接近すると旗などなんの役にも立っていないことがわかるであろう。
それでも『旗が見えてるから分かるだろう』という意見がでてくるかもしれない。しかし、よく考えてみてくれ。
リカンベント乗りにとって『旗の下にはリカンベントがいる』のは常識だが、リカンベントを知らない人にとってはいったい旗が何を意味しているのかが分かるわけがない。
旗の下に何があるか知らない状態で『旗が見えてるから分かるだろう』というのは無理な相談。
旗が役に立つのは後方から近付いてきた車に視認してもらいやすくするだけだ。それは前方10mや5mの写真を見てもらえればわかると思う。


前方1mで消失したローレーサはさらに1m前方に出ないと車からは視認することができなかった。
つまりローレーサとトライクは最低限2m以上車の前に出ないと視認してもらうことができないのだ。


信号待ちの車列の横をすり抜けて最前列に出ることがあると思う。
その時、『わきからすり抜けてきたから車はリカンベントを認識できていない。だから車の横で止まらず車の前に停車する。』
こんなことやったことないですか?
ローレーサ―やトライクの場合この前方1mの写真が示している通り、ちょっとだけ車の前にでても全く意味がないのだ。だって車から見えてないもの。
命が惜しければすり抜けはせず、おとなしく車の後ろに停車するのがお勧めだ。車の最前列に出ても短縮できる時間はたかが知れてるしね。
数十秒を惜しんで命を危険にさらすかどうするのかよく考えてほしい。


ドライバからの目線を想定してドライバの中心視野を赤枠で囲ってみた。
中心視野でみていると空間把握能力が高い。
どの自転車でも前方1mまで近寄るとドライバの中心視野からは外れてしまう。ドライバが前を見ている場合自転車の姿は周辺視野でとらえることになる。
周辺視野の場合色覚が落ち空間把握も低くなる。その位置にいる自転車は見えづらいのだ。
おまけにロードと違ってリカンベントは乗車姿勢の関係で胴体が後方に来ている。ロードとハイレーサーとミッドレーサーそれぞれ体は見える高さにあるがハイレーサとミッドレーサは体の位置の影響でロードよりも視認しづらい状態になっていることを理解しておいた方が良い。



これは旗ありなしのローレーサを比較したもの。
1mまで近づいたら旗の意味はないと言ったが、やっぱり旗はあった方が良いのが分かるであろう。


■おまけ
全車種の10m、5m、1mの比較画像。



■車の真横

ハイレーサとミッドレーサはロードよりも見える面積が少ないが、とりあえず見えてる。
でも、ミッドレーサは気を抜くと見落とされる可能性あり。
ローレーサはまたしてもヘルメットの頭頂部と旗のみ。
どうです?この旗見てリカンベントがいると認識できますか?いやー無理でしょ。
トライクに至っては何も見えず。
すり抜けしようとしたら助手席のドア開けられて衝突する危険性が非常に高い。


■車後ろ(後輪位置)

ここまでくると言わずもがな。
ローレーサとトライクは車高の低さから頭しかサイドミラーに映っていない。
これだとサイドミラーが上向き設定だと全く見えていないことになる。
そしてこれらのバックミラーの写真を見ると、旗が映っていないのがわかる。
後方位置では旗は全く意味をなしていない。


■車後ろ5m

車の5m後ろにいる自転車をサイドミラーと後方窓から振り向いて視認した状態。
ローレーサとトライクは見つけられるわけがないです。
サイドミラーに旗が映っていはいるが、小さすぎてなにがなんやら認識ができない。



■まとめ

  • リカンベントでは背の高いハイレーサやミッドレーサはロードに劣るものの比較的被視認性は良い。
  • 前方にいるリカンベントに後方から近付いていくシチュエーションではリカンベントを視認しづらいということはない。
  • 車との距離が近づくにつれローレーサとトライクは被視認性が落ちていく。5mから怪しい。
  • 車との距離が近づくと旗はあまり意味をなさない。
  • 背の低いローレーサとトライクは車との距離が2mを切ると死角に入ることが多く、全く見えていない。
  • 車の前方2mから車後ろ5mまでは背の低いリカンベントにとっては死地となる。

  • 車のすり抜けはやめよう
  • 最前列に出るなら車より2m以上前へ


私自身、検証をする前は車横〜後は見えないだろうなと思っていた。
前方1mは胸から上が見える程度かな?っと。
しかし、実際にやってみると前方1mの地点で全く見えなくなることにとても驚いたのだ。
これこそ百聞は一見に如かずということだ。
己の公道での立ち振る舞いを省みる良い機会となった。


今回の検証や写真の掲示においてリカンベントが居るから見つけようとして見ているが、通常運転している時はリカンベントなんて全く意識下にない。
リカンベントを見つけようとして見て、この発見のしづらさだ。
車を運転しているドライバーは他の車や前方の状況や信号や標識など色々なところに注意を向けている。
そんな、注意が分散化している状態で『そこに居ると思いもよらないリカンベントがそこに居ることを認識せよ』というのはエスパーでもない限り無理な相談なのだ。


今回の検証がリカンベントを愛する仲間たちの安全と安心と命を守ることになれば幸いであります。
車に撥ねられて体がぶっ壊れるというのは、経験上非常につらいし、あなたを大切に思っている人たちを悲しませることにもなります。
外を走るときは紳士であれ。自分の身は自分で守れる確率を上げるような行動をしましょう。
お友達のリカンベント乗りにもこの検証結果を見てもらってくださいね。
文章は長いので画像だけでも良いよ!【拡散希望



皆様、ご安全にっ!




最後に熱い中5時間にもわたる検証におつきあい頂いたリカンベント仲間に感謝。

盛豚さん
やまおかさん
星玉さん
Kazさん
えむきゅうさん
くりたさん
ぽんすさん
定吉さん
Mr.タチさん
(順不同)



[追記]
ちなみに私が車に撥ねられたのはハイレーサの乗ってる時です。
被視認性はロード並ですが、まぁ撥ねられるときは撥ねられると…

[追記2]
旗の検証も同時にやってたのですが、こちらはまた後日。
というか動画編集しないといけないのでいつになるやら… [つづく]