パリまであとなんコギ

交通事故にて頸椎骨折し障害を得たリカンベント乗りが再びパリ・ブレスト・パリを完走するまでの記録(予定)

ツールド美ヶ原2015 走行道中記 素晴らしき快晴の中のヒルクライム

二枚目でありたい。
常々私はそのように考え行動している。


一週間ほど期間が開いてしまったけど、6月28日は長野県で開催されたツールド美ヶ原のヒルクライムレースに参加してきました。
多くのイベントでははリカンベントでの参加がなかなか難しく、「後方確認ができないからダメだ」とか「ロードと挙動が違うからダメだ」とか「視認性が低いからダメだ」などといった理由で拒否されることが多いそうだ。
それでもいくつかのイベントではリカンベントの参加を認めてくれて、リカンベントクラスを設けてくれるイベントもある。
鈴鹿エンデューロではリカンベントクラスがあったものの、参加者の減少からかコスト削減からか「リカンベント&小径」変わってしまった。
とても残念なことだ。
第一次リカンベントブーム頃には十数台のリカンベントが参加したとかしなかったとか。しらんけど。


そんな中、このツールド美ヶ原は「リカンベント」と単独でクラスを設けてくれている稀有で奇特なイベントだ。
私は2008年から今年で6回目の参加になるのだけど毎回10人以下で実際出走するのは5人程度と、いつ「リカンベントクラス」がなくされてもおかしくないような参加人数だけど未だにしっかり「リカンベントクラス」を保ってくれている。コスト削減が叫ばれているこのご時世にリカンベントクラスを設けてくれているのは本当に頭が下がる思いでいっっぱいだ。
参加者が増えれば良いなぁ。そう思えども、関西から長野は遠い。自然発生的に関西からの参加者が増えることは難しいだろう。
距離的には関西より関東からの方が長野にアクセスしやすいので関東勢が参加してくれれば良いのだけど関東のリカンベント事情は知らんしなぁ。
そんな中、昨冬に私の尊敬するトライク乗りの先輩が「ラッセル部隊」の募集をしておられた。
ラッセルというのは雪が積もった山を雪を踏みしめながら道なき道を登っていくという珍しい楽しみだ。
いやいや、そんなん寒いしシンドイし集まらんやろうと思ってたら、あれよあれよという間にラッセル隊が結成されたではないですか。
私はそれを目の当たりにして目から鱗が落ちる思いだった。
そうか、真摯に募集をすれば志に同意してくれる友はいるものなのか。
私もツールド美ヶ原の参加者を募るぞ〜〜!!!!!


ということで今年はリカンベント仲間をそそのかしてえむきゅうさんと私の2名参加となりました。
仲間と参加するイベントは楽しいな。嬉しいな。喜ばしいな。
ただ、仲間が出来たけど誰でも彼でもが遠征できるわけでもないので、リカンベント輪行講座を開いたり電車のチケット手配したりと色々裏方作業がありつつ参加にこぎつけたのだ。


さて、今回は事故以来はじめてのエントリーだ。以前のようなパフォーマンスは望むべくない。
今の体での走力は以前の75%程度だ。
ベストタイムから計算すると2時間10分くらいのタイムになると思われる。
それでもレースに向けて大正池を登ったり登ったりと少しだけ練習はしたので今回の目標は以下のように立てた。

第一目標 足つきしない
第二目標 目標タイム 2時間5分以内
努力目標 目標タイム 1時間59分59秒以内

3つ目の努力目標は「2時間だと聞こえが悪いから1時間以内にしたいな〜」という実力を省みない無謀な目標なのでクリアできなくてもOK。
最低限第一目標はクリアしたいな。


前日の土曜日。
新幹線にて名古屋へ。さすがにリカンベント2台だと荷物のボリュームが大きい。

名古屋駅にて駅そばやさんで味噌きしめんをいただく。

名古屋駅に寄ったらいつも駅そばできしめんを食べのがマイルールなのだ。
特急しなのに乗り換えて松本へ。受付をすませてアルペン浅間さんに逗留。
1回目の参加からずっとアルペン浅間さんのお世話になってるのだけど、ここでは一人一部屋ではなくて相部屋なのだ。
相部屋ゆえにレース前に他の参加者のお話ができる機会がもてるのがアルペン浅間さんの一番の魅力。
今回は3人相部屋で私らリカンベントコンビが2人に仙台からの方が1名。


…すんません関西人二名で騒がしくて。


いつもは一人なのでさしてリカンベントの話題を振ることは無いのだけど今回はコンビなので仙台の方にリカンベントの魅力をぐいぐいと売り込む。


…すんません関西人二名で騒がしくて。


でも少し興味を持っていただけたようだったので、仙台市にあるRansのリカンベントの代理店スカイライフさんを紹介しておいた。
Ransといえば長くて超かっこいいLWBのXstreamを販売しているメーカ。Xstreamは私も街乗り用として愛用しているのでオーナーさんが増えると良いなぁ。


翌朝。天気は快晴!!!!
天気予報では降水確率が高かったのだけど、気持ちよく外れてくれて晴れ! 快晴! 日本晴れ!
今までの参加の中で一番の快晴だ。
これは楽しいサイクリングになる予感がプンプンするぞ。
ウキウキ気分でジャージを着用する。
着用するが、なにかおかしい…
ジャージがきつい!!!!!!!!!!!!!!
苦しい!!!!!!!!!!
あちゃー、太ったのにMサイズのジャージを持ってきてしまった…
着用できないことはないけどお腹周りが酷いことになってる…
まぁ誰も見てないからええか。っと自分をだましつつ着替えて会場へ移動。
ドウシテコウナッタ…

二枚目でありたい。
常々私はそのように考え行動している。



他の参加者の方のリカンベントが有る。
今回は我々を含めて5名の出走だ。
1台は2輪のミッド。

なんとドロップハンドル仕様だ!珍しい。
さらにフロントシングルでチェーンチューブはテフロンチューブを使用している。
これはなかなか気合の入ったリカンベントだ。
あとの2台はトライクの方々でこの大会の常連さんで何度かお会いしたことがある。
Logoとパフォーマーのカーボントライクというこれまた珍しい車種だ。


2輪の方とはこの後行動を共にして色々お話を聞くことが出来た。
なんでも長野の方で今回初の参加とのことだ。「リカンベントクラスが無くなる前に参加した」とのこと。だよねぇ。いつ無くなっても不思議じゃないもんね。
長野にはなかなかリカンベント乗りは居ないようで、我々との遭遇を喜んでくれていたようだ。(たぶん)
長野だと山が多いので登りが遅いリカンベントには不向きだしショップもないから中々リカンベント人口は増えずらいだろうね。
でも、確かベロモービルが一台長野に生息しているはずなので、長野も中々濃ゆいね。


あと、スタート待ちの時に「このリカンベントのオーナーさんどなたですか?」と私を探してる人がいた。
どうやら同じリカンベントを持っておられる方で序盤の激坂が登れるか不安だったので今回はリカンベントではなくロードで参加されたとのこと。
ギア比の構成などお伝えしたのだけど、来年はリカンベントで参加していただけると嬉しいなぁ。
ちなみに今回の私のギア比は53-39-30と12-30だ。ギア比1.0を確保した。
本当はフロントインナーを28にしたかったのだけど機材の調整がうまくいかずに断念したのだ。


そうこうしてるうちにリカンベントクラスのスタートだ。
キャンギャルのお姉さんがカウントダウンの札を掲げる。

いよいよスタートだ!

序盤は温泉街を通過していくので沿道に応援の方がたくさんいらっしゃる。
ありがたい声援に手をフリフリ答えながら登っていく。


えむきゅうさんはあっという間に見えなくなった。
激坂区間に差し掛かる。
前日の試走では足つきなしで登れたので今日も変なことをしなければ大丈夫なはず。
ここで第一目標をクリアしてはずみをつけるでぇ〜


リカンベントクラスのあとからジュニアクラスがスタートしてくる。
ジュニアは体重も軽いし登りは速い。登りが鈍重なリカンベントなんてあっという間に追いつかれる。


あ〜ジュニアの選手が来たか、ちょっと道の端に寄ろう。

お〜速いなぁ、がんばればんがれ。
ん〜俺ってばちょっと道の端に寄り過ぎじゃない???


あっ側溝を見てしまった!吸い寄せられる。
踵ヒット!!がつーん!



ぎゃーーーーー


バターン


足が絡まって立てない〜 ジタバタジタバタ オコシテオコシテ
この後観客の方に救助されました。満足にお礼もできず申し訳ありません。ありがとうございました。

二枚目でありたい。
常々私はそのように考え行動している。


一番急峻な坂区間で停止したもんだからリスタートできず。
リカンベントはダンシングが出来ないので、斜度のきつい坂で停止してしまうと漕ぎ出せないことがしばしばあるのだ。
はぁ…押して歩くか……


とぼとぼと激坂区間を歩いて登って斜度がゆるくなったところで乗車してリスタート。
すっかり心が萎えてしまったよ。


激坂区間を超えたら後は楽なもんで淡々と登るだけ。
と思ってたけど、それって怪我前の体の場合だった。
走り出して一時間もすると背筋と腸腰筋が仕事しなくなり始めて踏めなくなった。
時々出てくる10%超えの斜面をヒィヒィ言いながら登る。


終盤の頂上付近になると展望が開けて美しい景色が現れる。

これよこれ。この景色を見るために登るんだよな。
ゴール前でスパートして倒れ込む。
どうも、ハァハァして登ると血が下がって眩暈がしてきてダメだ。前はこんなことなかったのに何なんだろうね。
しばし頂上でコーラとアイス補給しながら休憩、えむきゅうさんと健闘をたたえあう。

ジャージが小さいのでお腹が出てる。

二枚目でありたい。
常々私はそのように考え行動している。


転倒したときに左バーコンが回ってしまってフロントをインナーに入れるとレバーが太ももに刺さるようになってしまっていた。
斜度きついところでインナーに入れたいけどハンドル切ったら太ももにレバーが刺さってぎゃーーー!!
とかなんとか面白おかしく話していたら、それを聞いてた長野のリカンベント乗りの方がおっしゃった。
「関西の人はなんでも笑いにするんですね、凄いなぁ〜」
え?そうなの?こんなん絶好のネタですやん??

二枚目でありたい。
常々私はそのように考え行動している。



以前から頂上付近には電波塔があって…という話を聞いてるが、いずれも天気が悪くて見えやしなかった。
しかし今回は快晴なので電波塔も見える!


放牧されている牛も見える!

あぁ〜なんて良い景色なんだ。毎回曇天だからこの景色は新鮮だ、美しい。さすがは美ヶ原だ、名前にたがわぬ景色だ。
絶景を楽しみつつ下山。


リカンベントクラス全員表彰してもらって大会は終了。
長野のリカンベント乗りの方にお勧めしてもらった仙気の湯さんで疲れた体を癒す。

熱々のお湯がこわばった体に気持ちいい。
はずなんだけど、激坂で転倒したさいの尻と肘の擦り傷に染みてあまり入っていられなかった。残念だ。


会場から駅までの道中の甘味処にて走り切ったご褒美にカキ氷を頂く。

ということでツールド美ヶ原の遠征、初のリカンベント仲間との遠征は無事終了したのでした。



結局走行タイムは目標は遠く及ばずで第一目標第二目標ともに未達。第一目標の足つきしないとい目標なんて大きく逸脱して転倒という燦々たる結果だった。だけども再び美ヶ原を登れるようになった and 仲間を引き込むことが出来たということで今回は良しとしておこう。
この汚点は来年にリベンジだ。

リカンベントヒルクライムというと二の足を踏む人が多いと思う。確かに山はしんどい、つらい。
だけども上へ登れば美しい景色が拝めるし下りはとても気持ち良い。
これだけでも登りの苦難に立ち向かう価値はある。
さらに登りは努力すればかならず結果として出てくる。努力は必ず報われるのだ。努力は嘘をつかない。
日常生活では報われない努力が多い中、自転車だけは嘘をつかない。
これは本当に素晴らしいことだ。
ヒルクライムレース。レースという言葉に拒否反応を示す人もいるけども、公式に自分の走った結果を認めてくれる。記録してくれる。
「俺を見ろ」だ。認めてくれるのだこの俺を。誰かに承認されるというのは気持ちの良いもんだ。
人と競い合うのも良いし、順位は置いといて過去の自分のタイムと競うのも良い。登れるところまでの登るというのも良い。
楽しみ方は人それぞれだけども、レースに挑むまでの準備や努力これらをレースの日ただ一日に向けて集約していくというのが気持ちが良いものだ。
足つきしても良い、歩いても良い。遅くったって良い。でも努力すればゴールにはたどり着けるのだ。
更にレースだと沿道の人が応援してくれる。日常生活で誰かに応援してもらうことはほぼ無い。リカンベントだと指さされて笑われることはあるけどね(笑
誰かに応援してもらえるというのも気持ちが良いもんだ。
折角「リカンベントクラス」という奇特なクラスを用意してくれているレースだから、主催者の心意気に答えてやろうじゃないか。
なんか、何を言いたいのかまとまりが無くなったけど、要するに。
来年、みんなもリカンベントでツールド美ヶ原のヒルクライムレースに出てみませんか?楽しいよ!


えむきゅうさんどうもお疲れ様でした。


二枚目でありたい。
常々私はそのように考え行動している。
しかし、どないしたら二枚目になれるんやろか??